株式会社 利根エンジニア

OVERSEAS
WORK DIARY
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海の向こうの仕事⽇誌

〜海外で働くということ〜

 私は海外で掘削する部署に所属しています。今回、地域の人々に安全な水を届ける給水施設整備プロジェクトの現場代理人として、2023年3月から2025年8月までの約2年半、アフリカ南東部・モザンビークのニアッサ州リシンガという町に滞在しました。内容は現地で、州内4郡においてハンドポンプ井戸100本と、4サイト・計950軒を対象に、高架タンクを給水元とする給水栓を建設するプロジェクトです。

 リシンガは標高1,300メートルを超える高原に位置する町です。空気は澄んでおり、朝晩は肌寒く、日本の秋のような気候が広がっています。首都マプトからは飛行機で約3時間半、隣国マラウィの首都からは車で約9時間かかります。周囲には広大な自然が広がる、静かな場所です。

 現地では今も、多くの村が井戸や給水設備を持たず、雨水や川の水に頼った生活を送っています。そのような環境の中、地元の職人や技術者とチームを組み、試行錯誤を重ねながら、一つひとつ井戸を掘り進めていきました。

 現場では、予想外の出来事が日常的に起こりました。重機の故障、資材輸送の遅れ、突然の豪雨による道路の寸断など、計画通りに進まないことばかりでした。そんなときに頼りになったのが、現地社員や、長年ともに働いてきた第三国人スタッフです。「できる方法を一緒に考えよう」と前向きに取り組んでくれる彼らの柔軟さと粘り強さには、何度も助けられました。

 工事の合間には、井戸の完成を心待ちにしている村の人々が、現場の様子を見に来ることも多くありました。ある村では、初めて井戸から水が出た瞬間、子どもたちが歓声を上げ、女性たちが歌いながら水を汲んでいました。その光景を目にしたとき、この仕事に携わることができて本当に良かったと、心から感じました。

 リシンガでの暮らしは、決して快適なものではありませんでした。電気や水の供給が止まることは日常的で、通信環境も不安定でした。それでも人々は、困ったときこそ互いに助け合い、笑顔を忘れません。そのたくましさと温かさに支えられながら、私自身も「困難の中で前向きに生きる力」を学びました。

 2年半の滞在を通して強く感じたのは、「技術よりもまず人が大切だ」ということです。現場を動かすのは、図面や計画だけではなく、人と人との信頼関係です。文化や言葉の違いを越え、相手を尊重しながら同じ目的に向かって進むことの大切さを、改めて実感しました。

 ニアッサ州で掘った井戸の数は100本です。しかし、そこで得た学びと人との絆は、それ以上に大きく、今も私の心に深く残っています。

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